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ヰタ・セクスアリス8 

昭和51年8月4日(土) 3,160日前

「気持ちいい。。。」とヒイちゃんが言った。
「僕もそう。。。」と僕も言った。
 ・・・
「フランク?」とヒイちゃんが僕の腕の中で言った。
「なに?ヒイちゃん?」
「これで良かったのかな?」
「僕にはわからない。だけど。。。」
「だけど、何?」
「僕で良かったんだ、といつか思ってくれるとうれしい」
「よく、わからないけど、フランクで良かったと思うよ、私は」
「ありがとう」と僕は言う。

「でも、フランクは私のこと好き?」とヒイちゃんが起きあがって僕に尋ねる。「だって、フランクは『僕で良かったんだ、といつか思ってくれる』って言ったけど、それはひどいんじゃないの?未来を想定した過去形で言ってる。私達はお互い最初にキスをしたのよ。それって、エポックメイキングなことで、その後はその後ということなの?」
「そうじゃないよ。未来を想定した過去形なんて、ヒイちゃんに言われて初めて気付いたよ。そういう意味で言ってない。ヒイちゃんのことはとてもとても好きだよ。エポックメイキングだといっても、僕の、キミのそれぞれのエポックメイキングじゃない。僕らのエポックメイキングだと思う」
「でも、兄貴とよく言ってるじゃないの、『女の子はキスしてポイ』だって」
「今のはキスだけだった?それ以上じゃなかった?」
「。。。そうね、そうよね。。。でも、キス以上だったけど、最後までじゃない」
「それは。。。でも、キス以上だろ?」
「フランクは女の子とキスしたことがあるでしょ?ウソついたでしょ?」
「。。。ある」
「誰と?」
「ホラ、あの双葉のあの子と」
「ひどいヤツねえ。でも、それ以上いったの?」
「いかない。山下公園で、ちょっとキスしただけ。ちょっとだけで、ヒイちゃんの今のとは全然違う」
「まだ、つき合ってるの?」
「時々だけどね。。。」
「もう、つき合わないでね。私とだけよ」

僕は思うのだけれど、女の子というのはあなどれない。17才で、もう僕に抑制をかけるのだ。所有を要求するのだ。「わたしだけ、わたしだけよ」なぜなんだろう?なぜそういうのだろうか?こんなに僕らは若いのに。僕には経験がなさ過ぎたのだ。妹のようなものだとばかり思っていたが、彼女の方が1枚も2枚も上手の、大人だったんだ。

「ヒイちゃんとだけだね。ヒイちゃんとだけだ」
「本当ね?」
「本当だよ」

急にヒイちゃんは抱きついてきた。唇を求める。息が熱い。

「本当なのね?」とヒイちゃんが尋ねる。
「本当だよ」と僕は答えた。
「私をあげるわ、フランク。抱いてよ」

僕もヒイちゃんも初めてだったから、よくわからなかった。だけど、こんなことは誰かに習うものじゃない。自然に出来てしまう。ヒイちゃんはずいぶん痛みをこらえた。だけど、僕が終わった後、彼女はまた僕に尋ねた、「私だけよね?」と。

「ヒイちゃんだけだよ」と僕は答えた。

「私をあげるわ、フランク」と彼女は言ったけど、僕は何かをもらったんだろうか?僕はヒイちゃんに何かをあげたんだろうか?

外が薄暗くなってきた。「パパとママと帰ってくるのは9時頃?」と僕はヒイちゃんに聞いた。
「たぶん、その頃だと思うけど、わからない」何かを考えている。「そうね、フランクは今日はもう帰った方が良いと思うわ」とヒイチャンが言う。どちらが年上かわからない。
「シーツが汚れちゃったけど」と僕は言う。
「大丈夫。何とかする」とヒイちゃんは言う。

僕は、彼女が「大丈夫。何とかする」というのに引っかかった。何か、悪いことをしたような気がした。「ヒイちゃん、これって僕は泥棒猫のような気がするんだけど、気のせいかな?」と僕は言った。
「そうじゃないわよ、フランク。あなただけが泥棒猫じゃないの。私たち、犯罪の共犯者なのよ」とヒイちゃんが僕の目を見て笑って言った。すごく素敵な笑顔だった。でも、犯罪の共犯者。そういうものなんだろうか?

僕らは、服を着て、ベットシーツをはがした。「新しいシーツをかけるから手伝ってね」というヒイちゃん。一緒にベットメーキングをした。

玄関で、「じゃあ、帰るよ、僕は」と僕が言う。僕は玄関の土間に立っているので、ヒイちゃんの目線の方が僕よりも高かった。
「キスして、フランク」とヒイチャンが言う。

僕は彼女にキスをした。僕は軽いキスのつもりだったけれど、彼女は舌をいれてきた。早く帰れと言われたり、ディープキスをしたり、女の子は実にわからない存在だ。

「電話してね」とヒイちゃん。
「わかった。家に帰ったら電話するよ」と僕。

-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-∞-

23rd March, 1979 (Fri) before 2,202 days

 絵美のお母さんは、オチャアチャマに似ている。でも、抜けているようでいて、ちゃんと聞くのだ。僕の背景、僕の希望、僕の今を。30分もいろいろなことを話しただろうか。僕は、地のままを押し出していればよかった。別になんらの脚色も必要ない。

「お母様、もう品定めは終わりましたか?」と絵美がいう。
「まあ、品定めなんてとんでもない。あなたが連れていらっしゃる方ですからね」と絵美のお母さんが言った。
「じゃ、面接はここまで!満足した?」と絵美。
「何を言っているの?この子は?フランクくん、おかしな子なんだから。。。」とお母さんが僕を見て言う。
「いや、僕はなんとも。。。」と僕は言う。
「じゃあ、フランク、私の部屋へ行こう。お母様、それでは」と絵美が言う。
「フランクくん、ゆっくりしていってね」とお母さんが言った。

 僕は、絵美に手を引かれて、応接間を出て、2階に上がった。絵美の部屋は、突き当たりの角部屋だった。ドアの左手にアップライトのピアノが置いてあった。壁は、本棚でぎっしりと埋まっていた。「フランク、そこに座って」と絵美は机の椅子を指し示した。絵美はベットに腰掛けた。

「どう?面食らったでしょ?」
「そうでもないよ」
「私が家に連れてくる男性は、一応面通しをしておくのよね。一種のゲームなのよ、彼女と私の」
「それはどこの家庭でも一緒だよ、娘の連れてくる相手なんだから」
「で、敵は、誰を連れてきて、誰を連れてこないか、その裏を探るのよ」
「おいおい、僕は安全パイのミセ札なのか?」
「まさか。フランクは、ちゃんと紹介しておきたい相手に決まっているじゃない?」
「ありがとうと言っていいんだろうね?」
「難しい問題なのよ。単に、相手が私にとって『いい人』というだけでは通用しないらしいのね?やっぱり、バックグラウンドが気になるらしい。どこの高校出身で、どこの大学に通っていて、身なりはどうか、受け答えはどうか。面倒なことおびただしいわね」
「絵美のことが心配なだけじゃない?」
「おいおい、フランク、私は21才よ。心配するというのは信用していない証拠よ」
「まあ、絵美も母親になればわかるんじゃないの?」
「母親になればね、もしも」
「もしもね、もしも。そんな先のことがわかってたまるかね?」
「そうよね、わかるわけないわね」

「ねえねえ、フランク、私のチェロ、聴く?」と彼女がうれしそうに僕に聞いた。
「絵美はチェロも弾くの?」と僕が聞くと、
「ピアノよりもね、チェロの方が好きなのよ、私」と絵美が言う。

 彼女は立ち上がって、僕が気付かなかった押入のドアを開けて、「ヨイショ」と言うと、チェロのケースを引き出してきた。低いチェロ用のチェアも押入から引き出した。ケースを開けて、チェロを出した。エンドピンを装着して、ボー(弓)を持った。

「何を聴きたい?」と絵美が尋ねる。
「僕は、チェロというとカザルスしか知らないけど。絵美は何が好きなの?」
「カザルスの『白鳥の歌』も難しいわね。まだ、練習が足りない。練習が足りないのではバッハも同じだけれど、無伴奏組曲ならちょっと弾けるのよ。聴きたい?」
「もちろん、聴きたい」と僕は言った。
「組曲の1番から3番目まではまだ弾けるの。でも、それから後はダメ。1番のG Majorだけ弾いてみるけど、いい?」
「いいよ、やってみて」

 彼女は目を閉じて、流れるように弾きだした。力強く右腕の肘を突き出し、引き入れ、自由自在にボーを操っている。すごく気持ちが良さそうだ。20分に満たなかったが、僕の正面で僕だけのために演奏してくれる彼女の演奏は素晴らしかった。彼女は、何もしなくても気品と自信に満ちているが、何かをする時の彼女は、気品と自信が増すのだ。

「気持ちいいわ。。。」と絵美。
「僕もそうだ。。。」と僕。

 まったく別のシチュエーションで、まったく同じことを別の女の子と僕が言った覚えがあったような気がした。気のせいかもしれない

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