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女性による経済活動と民族対立が引き起こす経済問題 2 

2.女性労働力に依存する経済構造
 筆者が行ってきた実態調査に基づく知見によれば、植民地支配とともに貨幣経済が浸透し、公的部門において英国政府方式のペイドワークが導入された。次いで、私的部門におけるプランテーション経済の創出とともに、女性労働力のぺイドワークが創出された。スリランカ社会の事例のように、公私両部門においては女性の社会進出が欧米や日本よりもはるかに進展し、工場労働や海外出稼ぎ労働において女性労働力がペイドワークの主流を成すにつれて、部分的ではあるが男性労働力(とりわけ失業者や潜在失業者)のアンペイド化が生まれつつある。
 よく知られているように紅茶生産は、スリランカの基幹産業であり、世界市場への最大の供給源である。プランテーション農園の産物である紅茶、ゴム、ココヤシの三大輸出品目に依存する経済構造は独立後も受け継がれた。無権利状態のプランテーション労働者(南インドから移住してきたタミル人)と、英国又は英国風の中等教育を受けたプランターたちとの社会的な格差にも変化はなかった。コロンボの紅茶競売市場は、英国系の代理商社が取り仕切り、敗戦国である日本やドイツの商社については1990 年代まで競売への参加が認められなかったほどである。
 1970 年代に、ほとんどのプランテーション農園が土地改革により政府に接収された。しかし、公営のままでは生産性が低落する一方であり、再び1980 年代後半に民営化が進められた。他方、イギリス植民地時代からの階層化された指揮命令系統を重視する軍隊モデルの労働組織は、官営化でも民営化でもほとんど変わらなかった。その基幹的な労働力は、茶葉摘みを引き受けるタミル人の女性労働者である。
 プランテーション農業の停滞とともに、輸出統計に占める紅茶の地位は徐々に低落していった。1990 年代における第1の外貨獲得源は、海外からの直接投資を誘致した輸出加工区の産業である。その中心である既成服の縫製業が、紅茶産業に取って代わった。ここでも大量の未熟練労働力が雇用される点では、プランテーション農園と同じである。しかし、プランテーション農園が家族単位の住み込み労働であるのに対して、自由貿易地帯の縫製業では、単身の若年層女性労働力が90 パーセント以上を占める。
 縫製業に次ぐ第2の外貨獲得源は、アラブ産油国に集中する海外出稼ぎ労働者からの送金である。1990 年代には、労働力人口の1割近くを占めるに至った海外出稼ぎの7割以上が、既婚女性の労働力である。政府の海外雇用局による調査では、女性出稼ぎ労働者の約6割が夫と二人以上の子供を残して長期に西アジアで働いている。このように女性労働力の比重が高まってきたのが独立後の特徴である。独立前は海外からの移住労働が輸出産業を担っていたが、独立後は輸出加工区や海外出稼ぎへと方向が180 度転換した。
 農業労働力も、工場労働力も、出稼ぎ労働力も、労働市場で商品化される労働力の基幹部分は、もっぱら女性に頼るようになった。軍人や警察官など、1970 年代までは男性に限定されていた分野における女性労働力の進出も顕著である。しかし、村から農園へ、都市の工場へ、更には海を越えて出稼ぎに行ったり、果ては戦場へ赴く女性労働者の苦難は、ほとんど改善されていない。
 しかし、彼女らはまぎれもなくペイドワーカーである。雇用労働者である女性がぺイドワークを引き受け、定職のない男性がアンペイドワークの家事労働を行う家庭は、もはや例外的とは言えない。早朝から茶摘み労働に出るタミル人女性の家庭でも、工場労働に出かける農村女性の家庭でも、子供を残して3年間、あるいは5年間と長期の海外出稼ぎに出る女性の家庭でも、残された男性の家事負担が少なくない。主たる家計支持者である女性とアンペイドワークを引き受ける男性との間で、さまざまな問題が発生している。女性が基幹的な雇用労働力となり、出生率は1953 年の3.87%から1996 年の1.86%へと急速に低下した。平均寿命は、1946 年の42 歳から1991 年の73 歳まで著しく向上した(図表1)。男女別の数字が公表されていないので、推測にすぎないが、出生率と平均寿命の双方について、男性よりも女性の生活条件改善の方が、一段と顕著であろう。
 他方、輸出商品作物とは無関係に、農村社会において水田、菜園、果樹園、畜産、内水面漁業などに従事している人々の暮らしでは、性別にかかわりなく手間替え労働(アッタンやカイマート)などの形態を取って、共的部門の経済活動が今日も重要な役割を演じている。灌漑施設の維持管理労働はその典型例であり、植民地化以降のペイドワークでもなければアンペイドワークでもない。長い年月にわたる共同労働の経験を、次代の経済建設にどのようにして活かすか、農村青年たちにとっては大きな関心事である。
 欧米の大学に留学したエリート官僚や政治家の経済政策論争が、「市場経済か計画経済か」をめぐって行われてきたのに対して、多くの農村女性は輸出商品生産の賃金労働や海外出稼ぎではなく、農村で暮らし続ける共的部門の生活を通じて、自らの未来を切り開く道を摸索している。言い換えると、農村社会において自営業のネットワークを組織しながら、ペイドワークやアンペイドワークの呪縛から解放される展望を求めているのである。しかし、このような形の共的部門再編の試みは始まったばかりであり、今後どのような進路を取るか注目し続けたい。

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知ってるだけで日本を守れる?タブー?2007/11/17【在日特権】

日本国民として、今、知るべきニュースがある。純日本人も、在日の方も、とりあえず知って然るべきことだ。なんと、在日朝鮮人・韓国人に対して、「特権」があるという。裏で囁かれていたのは知っていたが、実際に表に出るのは珍しいことだ。しかし、TVでの放送は無い。なぜ
  • [2007/11/18 07:25]
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