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女性による経済活動と民族対立が引き起こす経済問題 4 

4.内戦の激化と経済協力
 同様の傾向は、1983 年8 月に始まるジャフナ半島におけるタミル青年の武装反乱にも共通する。タミル人のエリート政治家には、英語教育を受けた弁護士が多く、多数派のシンハラ政治家とコロンボの議会において言論戦を繰り広げてきた。タミル人のエリート政治家に対するシンハラ人の反感は根強い。この反感や憎悪が、多くの政治家に対する暗殺行為につながっている。民族対立が長期的な内戦に転化するとともに、農民兵士の陸軍部隊の主力が集結する古都アヌラーダプラでは、軍需景気に支えられた経済成長の拠点となっている。
 軍事費とそれに関連する政府支出や民間支出の正確な内容は、政府軍と反政府軍の双方とも公表していない。しかし、近年は年間およそ10 億米ドル程度と推測され、スリランカにおける国内総生産の10 パーセントに近い規模とみられる(図表2)。国防費が余り目立たないようにスリランカ政府としてはいろいろ工夫もしている。例えば日本国政府は、軍事費の多いところに経済協力をしないという基本方針を持っているので、なるべく目立たないようにしたい。それでも政府の経常支出の25%、約4分の1という位置を占めていることが分かる。
 他方、1983 年以降、反政府軍支配地における経済活動や海外在住タミル人からの軍事費送金は、スリランカの政府機関による把握が困難であり、その分だけ国民所得勘定なども不正確にならざるを得ない。
 長期化した内戦の激化は、外国援助のあり方にも再考を促す要因である。最大の援助国として道路やダムの建設、港湾や空港の整備、医療機関や教育施設などインフラストラクチュアに力を入れてきた日本の政府開発援助も、タミル人側からはシンハラ地区に偏っているとの不満の声がある。大量の死者や100 万人規模での島の内外に難民を出している武装抗争に触れることなく、開発援助のみを拡大するのは誰の目から見ても異常であろう。激化する民族対立を他人事として等閑視することなく、平和的な解決に資するような方向へ援助政策の転換が必要であろう。特にタミル人居住区に日本の援助はほとんど入らない状況なので、それを再検討する必要があるのではないか。
 1989 年夏、インド平和維持軍が支配するジャフナを訪問した筆者が、街の人びとに話しかけると「口は食べるためだけにあり、話すためではありません。」という答えが返ってきた。言語文化への不信は、インド軍の下で頂点に達していたのであろう。そのころ12 万人のインド軍に対抗すべく、ムライティヴ・ジャングルの根拠地で軍事訓練にいそしんだLTTEの青年男女は、相手の鼓膜に響く声を出すことを禁欲し、肉体を切り裂く行為に全力を傾けていたのである。
 タミル・イーラムのホームページは、インターネット上を検索すると、各種各様に出されていることが分かる。スリランカから国外に逃れた約50 万人のタミル人たちがスリランカに送金すれば、スリランカの軍事費に使われるのだと主張している。また、インド政府でラジヴ首相暗殺の首謀者だというので訴追されている人物が、話し合いによってこの民族問題を解決しようということを申し出ている。しかも、その申し出によって、大統領選挙のときに第2位の得票数を得た前政権UNP(統一国民党)の委員長であるRani lWickramasinghe も、当事者間だけでは解決の目処が立たないので、第三者の援助によって和平交渉をしようというような話に乗ってきている。ノルウェーを先頭にして、カナダ、英国、インド、米国、フランスなどが、様々な立場から斡旋役を申し出ている。第三国仲介による話し合いについては選挙後まだ日が浅いので、これからの課題である。

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